人妻！人妻！人妻！

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登場人物

丸山　恵子：３３歳
河本　彰　：３３歳

＊登場人物、内容はフィクションです。

３．一人の外出

「ママ何処行くの？」
剛史に抱っこされながら、美津希が不安そうな顔を向けた。
「ママは今日お友達と会ってくるんだよ。パパと留守番できるよね？」
剛史が美津希の頭を撫でながら優しく諭し、玄関で心配そうに顔を向ける恵子に微笑んだ。
「ホントに大丈夫？」
「大丈夫だって、ほら急がないと遅れるぞ」
「みっちゃん、パパの言うこと聞くのよ。直ぐに帰ってくるからね」
「ママと行く、、、」
美津希が恵子に向かって腕を伸ばした。
「よーし美津希！パパとアイス食べようか！」
「アイス、、、？食べる！」
「じゃあ、よろしくね、、何かあったら電話して、、、」
「大丈夫だから、楽しんでおいで。美津希！アイスは何が良い？」
剛史はニッコリ笑ってウィンクをし、美津希を抱いたままキッチンに向かい歩き出した。
「ん～～と～～」
美津希の考え込む声を聞きながら、恵子は静かにドアを閉め駅に向かった。

　一人で電車に乗って出かけるなんて久しぶりだった。
子供が産まれてからは買い物やお出かけは近所のスーパー、公園で済ましていた。
たまに遠出するときは、剛史の運転する車の助手席が指定席になっていた。
そわそわと周囲を見渡し、車内のアナウンスを必死に耳で追いかけた。
　　”初めて電車に乗る訳じゃないんだから・・・”
自分の落ち着きの無さに苦笑しながら、初めての同窓会に想いを巡らした。
　　”みんな元気なのかな、先生幾つになったのかな、、、解らない人が居たら、、、”
電車のアナウンスが目的の駅に着くのを知らせ、恵子は立ち上がった。
ブレーキによろめきながら、ドアに向かって歩き出す。
「すいません、、降ります、、、」
蚊の泣くような声を出しながら、他の乗客の間をすり抜け何とか駅に降り立った。
「ふぅ、、、混んでるな、、、」
土曜日の街の浮かれた雰囲気に圧倒されながら、恵子は改札を抜け立ち止まった。
「えっっと、、、」
案内状に同封してある略図を眺め、目的のホテルに歩き出した。

４．遅刻

「あっ、、在った、、、、」
恵子は目の前にそびえ立つホテルの入り口に向かって走り出した。
駅の出口を間違えたまま、反対方向でホテルを探していた。
見つからないホテル、時間が無情にも過ぎ、交番に駆け込んだのは開始時間を5分程過ぎていた。

「すいません、楓の間で同窓会、、、予約してると思うんですけど、、、」
「はい、少々お待ち下さい、、、」
受付の青年が書類に目を通し、ニッコリと笑った。
「承っております。あちらのエレベータで3階になります」
「有り難う御座います、、」
恵子は軽く頭を下げ、早足でエレベーターに向かった。
ゆっくりと昇るエレベーターの中で息を整え、髪の毛を手櫛で揃える。
「ふぅ、、、もう始まってるんだろな、、、」
携帯の時間は１８：３０を示しており、３０分の遅刻が恵子を憂鬱にさせる。
俯くと同時にポーンという音と共にエレベーターが止まり、ドアが開いた。
楓の間のドアは閉じられており、微かに中から笑い声が聞こえる。
恵子は重たいドアに手を掛け、中学生の様に静かにドアを開けた。
隙間から明るい光りと共に笑い声が漏れる。
ばつの悪さを感じながら、そーっとドアの隙間に体を滑らせた。
「おっ、、？」
「あっ！恵子？恵子でしょ！？」
「えっ、、きゃぁ！！恵子！！久しぶり！」
「うそっ！恵子！？」
遅れてきた恵子に視線が集まった。
何人かの同級生はテーブルを離れ、恵子の周りに駆け寄ってきた。
「恵子！久しぶり！」
「会いたかった～全然連絡くれないし！」
「あの、優等生の恵子が遅刻なんて！」
少し酔った同級生達の顔には満面の笑顔を浮かべ、恵子の顔を覗き込んでくる。
「遅れて、、ごめん。駅の反対側に出ちゃって、道に迷っちゃって、、、」
恥ずかしそうに顔を赤らめた恵子の顔を、同級生達はキョトンと見つめ、直ぐに笑い声が包んだ。
「やだ～恵子らしい！」
「ホント、全然変わってない」
「ほら、早くこっち来て、早く早く！」
同級生に手を引かれ、自分の名札のあるテーブルに着いた。
「おっ、恵子！久しぶりだな」
「きゃっ、恵子！久しぶり、何年ぶりかしら」
「じゃあ、もう一度乾杯だな！」
見る顔見る顔懐かしく、中学時代に戻った気がする。
注がれたビールが恵子の緊張を解し、昔話が華を添えた。
当時の面影を残しながらも、それぞれ歳を重ねている。
あっという間に１時間が過ぎ、酔いが廻り、みんな声が大きくなってきた。
「これで河本が来れば、全員なんだけどな」
「あいつ何やってるんだ？」
「さぁ、、実家の方には連絡してあるはずだけどな」
河本と言う言葉に一瞬心が揺れた。
片思いのまま卒業し、高校が違ったためそれ以来会ってなかった。
「後30分か、今日は来ないな」
「まぁ、いつでも来たこと無いけどな」
男達は笑い声を上げ、次の話題で盛り上がり始めた時だった。
「ちょっと遅くなったかな？」
頭を掻きながら、ゆっくりと入ってくる河本が居た。
会場から一瞬音が消え、一斉に視線が河本に降り注ぐ。
「、、、、、あ、あれ？」
河本が頭から手を降ろした刹那、会場が騒然となった。
「か、、河本！！！！」
「おまえ元気だったのか！？」
「今まで何やってたんだ！？」
河本を中心に一重二重の人垣が出来、恵子は人の輪に取り残されたままもみくちゃにされる河本を見つめた。
　　”河本君・・・”
「これで全員揃ったぞ！」
「乾杯だ！もう一度全員で乾杯だ！！」
男達が声を張り上げ、女達もそれに続いた。
恵子は遠巻きに河本を見つめるしか出来なかった。

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