人妻！人妻！人妻！

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９．誘い

「ごちそうさま～」
ぽっこりと膨らんだお腹を叩き、正がにっこりと笑った。
「お粗末さまでした」
順子は微笑みながら立ち上がり、食器を重ねる。
「まだ続いてるのか？」
「続いてるって？」
順子は手を止め、正に視線を向けた。
「ウォーキング」
「えぇ、毎日歩いてるわよ。どうして？」
正のコップにビールを注ぎながら、チラリと膨らんだお腹を見た。
「いやぁ、最近ちょっと痩せたんじゃないかって」
正が意味ありげに、順子の体に視線を移した。
「ホント！？」
「あぁ、もともと太ってなかったけど、引き締まったって言うか、、、」
「ホント？嬉しい！」
順子は嬉しそうに笑みを浮かべ、食器をキッチンに運んだ。
「なぁ、風呂入ってくれば？」
リビングから正が声を掛けてくる。
「うん、これセットしたら入ってくるからちょっと待ってて」
カチャカチャと食洗機に食器をセットし、順子は浴室に向かった。
久しぶりの夫からの誘いに、気持ちが急くのがわかる。
ボディーソープの泡で体を包み、急ぎながらも夫が触れる場所を丹念に洗っていく。
「ぁっ、、、、、」
躰が紅潮し、興奮しているのがわかる。
泡の付いた手を秘裂に伸ばすと、うっすらと滲み始めている。
「んっ、、、、、」
恥ずかしさと指の刺激に顔が赤くなった。
丹念に洗うほど、期待が高まっていく。
「ぁぁっ、、、」
思わずもれる声が浴室に響き、順子は慌ててシャワーの蛇口を捻った。
体から泡が流れ落ちると共に心も落ち着きを取り戻してゆく。
「ふぅ、、、」
すっかり泡が落ちた体を鏡に映し、夫の言葉を思い出す。
『引き締まった』
毎日見てる体に大きな変化は感じなかったが、ツンと立った乳首と紅潮した躰が淫らに映る。
順子は鏡に映る躰から目を逸らし浴室を後にした。
火照る体をバスタオルに包み、正が喜んでくれた下着を手に取った。
白いレースのＴバックにお揃いのブラ。
順子ははやる気持ちを抑え下着を身につけ、寝室のドアをそっと開けた。
「おまたせ、、、？」
ベッドの上に横たわり、正が寝息を立てている。
「あなた、、、寝ちゃったの？」
順子はベッドに上がり正を揺すった。
「ん～～っ」
正がゴロンと寝返りを打ち、順子に背を向けた。
「、、、なんなのよもう」
興奮がさめ、浮かれていた自分が惨めになる。
「おやすみ、、、、」
溜息と共に小さく声を掛け、寝室を後にした。

１０．勘違い

「昨日はごめん、、、いつの間にか寝ちゃった、、、」
朝食の後、正が申し訳なさそうに頭をかいた。
「ううん、、、良いの。あなたも疲れてたんでしょ」
「ごめんな、、、」
「そんな事より、急がないと遅れちゃうわよ」
順子はにっこりと笑い、時計に視線を向けた。
「あっ、やばい！」
正は慌てて玄関に向かった。
「いってらっしゃい」
順子は玄関で手を振り正を送り出した。
ドアが閉まり一人になった部屋で昨夜の事を思い出し溜息がこぼれた。

　パジャマに着替え、正に背を向け目を閉じた。
女としての価値が下がっていくような感覚になかなか寝付けずにいた。
いつの間にか眠りに落ち、気が付けば朝を迎えていた。

順子は寝不足でだるい体で家事を片づけ、ウォーキングの支度を始めた。
ジャージを履く手が一瞬止まる。
昨日履いた白いＴバック。
　　”どうせ…私なんか…”
そんな思いが、ジャージを一気に引き揚げさせた。
キャップを目深にかぶり、iP○dを手に公園へ向かった。
「ふぅ、今日も暑いわね、、、」
額ににじむ汗と、iP○dから流れる軽快な音楽が順子の心を癒してゆく。
懐かしい曲も、知らない曲も順子の歩くスピードに合っている。
「あっ、この曲、、、」
好きだったドリカムの曲がイヤホンから流れる。
順子はiP○dを見つめ、昨日の件を思い出していた。
充電機だけでなく、ケースとソックスをくれたこんにちはの男。
立眩みとはいえ、その筋肉質の胸で抱えられたこと。
何故だかキュッと心が痛くなり、胸が高鳴った。
憎めない男の笑顔、引き締まった体に汗のにおい。
「、、、何考えてるんだろ」
順子は自嘲気味に笑い、頭の中から男を追いだそうとした。
「、、、」
耳元で流れる音楽と、首元で揺れるiP○d。
「、、、、」
厚い胸板に、男の汗のにおい。
「、、、、、、」
躰の奥がギュッと熱くなり、溜息が洩れた。
順子はここにきてＴバックを履いてきたことを後悔し始めていた。
今まで気にならなかったＴバック食い込みに意識が集まる。
必要以上に内股に力が入り、さらにＴバックが食い込んだ。


　　”あっ…”
清は順子の後姿を見つけ、走る速度を速めた。
　　”ん…？”
順子まで１０ｍ程まで近づき、違和感を感じ歩速を落とした。
どことなく歩きにくそうな、逼迫した感じがする。
　　”まだ調子が悪いのかな･･･”
清はそんな事を思いながらさらに歩速を落とし、順子に並んだ。
「こんにちは！」
にっこりと微笑みながら、何時も通り声を掛けた。
「あっ、、こんにちは、、、」
顔を上げる順子に清はドキッとした。
昨日の白い顔とは違う、紅潮した順子の顔。
「大丈夫ですか？まだ調子が悪いんじゃないですか？」
清は心配そうに順子の顔を覗きこんだ。
「だ、大丈夫です、、昨日はすいませんでした、、、」
頭を下げた順子の顔がさらに紅潮していく。
「あそこで少し休んだ方がいいですよ！今、飲みモノ買ってきますから！」
清はベンチを指差し、慌てて駆け出していた。

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